集患

内科の集患:かかりつけ化と季節変動を平す導線設計

「風邪や発熱の患者は来るのに、生活習慣病などの定期通院患者が思うように増えない」「季節によって待合室が満員になったり閑散としたりする波が激しい」——内科の院長・事務長からよく聞く悩みです。内科の集患は、単発受診の新患を増やす施策と、かかりつけ化によって季節変動を平す施策の両輪で考える必要があります。

まず押さえるべき要点は3つです。

  1. 単発受診とかかりつけ受診は導線が違う:発熱・風邪など「今すぐ探す」患者と、高血圧・糖尿病など「継続的に通う」患者では、接触するチャネルも意思決定の基準も異なります。
  2. 季節変動は完全には消せないが、平すことはできる:花粉症・感染症シーズンの繁忙期と、閑散期の落差は、生活習慣病などの慢性疾患患者を厚くすることである程度緩和できます。
  3. かかりつけ化は「初診の質」と「再来の仕組み」の両方で決まる:初診時の説明の丁寧さや会計時の声かけ、リコール(再来喚起)の仕組みがあるかどうかが、患者が「次もここに来よう」と思うかを左右します。

内科の来院経路を分解する:単発受診とかかりつけ受診

内科集患の設計は、来院経路分析から始めるのが基本です。来院経路分析のはじめ方で触れているとおり、患者がどの経路で来院しているかを把握しないまま施策を打つと、効果測定ができず改善サイクルが回りません。

内科の場合、来院経路は大きく2系統に分かれる傾向があります。

  • 単発受診系:発熱・咳・腹痛など急性期症状での受診。検索行動は「地域名+内科」「今日 診療 内科」のような即時性の高いキーワードが中心で、Googleマップ経由の来院が多くなりやすい領域です。
  • かかりつけ受診系:高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病、健診後のフォローなど。こちらは口コミや紹介、過去の受診経験が意思決定の主因になりやすく、広告よりも院内体験の積み重ねが効いてきます。

この2系統を分けて考えないと、「発熱患者は増えたが、定期通院患者は減っている」といった状態に気づきにくくなります。受付での問診票や予約システムの受診理由欄を使い、月次でこの2系統の比率を追うことをおすすめします。

季節変動を平すための患者ポートフォリオという考え方

内科は診療科の中でも季節変動の影響を強く受けます。冬場のインフルエンザ・感染性胃腸炎、春の花粉症シーズンは来院数が跳ね上がる一方、夏場や秋口は閑散期になりやすい傾向があります。

季節変動そのものをゼロにすることは難しいですが、「山と谷の差」を平すことは可能です。考え方としては、単発受診(季節に左右されやすい)とかかりつけ受診(季節に左右されにくい)の患者比率、いわば患者ポートフォリオを見直すことです。

患者層季節依存度集患のアプローチ
急性期・単発受診高い(繁忙期に集中)MEO・地域検索での即応性強化
生活習慣病・慢性疾患低い(通年で安定)かかりつけ化・リコール設計
健診後フォロー中程度(健診シーズンに連動)健診結果説明時の継続受診案内
ワクチン接種高い(秋冬に集中)予約導線の整備、通知の仕組み

閑散期の落ち込みが気になる院は、生活習慣病患者や健診フォロー患者の比率を高める施策(初診時の丁寧な説明、次回受診日の明確な案内など)を優先することで、繁忙期依存を減らせる可能性があります。

かかりつけを取りにいく院内導線の作り方

かかりつけ化は広告では作れません。院内での体験設計が土台になります。具体的には以下のような接点が積み重なって「かかりつけ意識」につながります。

  • 初診時の説明の丁寧さ:症状の説明だけでなく、今後の通院ペースや検査計画まで示せているか
  • 会計時の次回案内:「また何かあれば」ではなく、次回受診の目安を具体的に伝えられているか
  • リコール(再来喚起)の仕組み:定期受診が必要な患者に対して、はがき・SMS・LINEなどで受診間隔が空きすぎないよう働きかけているか
  • スタッフの対応の一貫性:受付・看護師・医師で伝える情報にズレがないか

クリニックのLINE公式活用法で解説しているような再来・リコール設計は、内科のかかりつけ化施策と特に相性が良い領域です。予約リマインドや処方薬が切れる時期の通知など、患者側の受診忘れを防ぐ仕組みがあるかどうかで、慢性疾患患者の継続率は変わってくる傾向があります。

やりがちな失敗として、リコールの仕組みを作らないまま新患獲得の広告費だけを増やすケースがあります。単発受診の新患をいくら増やしても、かかりつけ化する導線がなければ、翌シーズンにはまた同じだけの新患獲得コストがかかる構造から抜け出せません。

MEO・検索対策:内科は「今すぐ近くの内科」への即応が要る

内科は「今すぐ近くの内科を探す」検索行動の比率が高い診療科です。クリニックのGoogleビジネスプロフィール(MEO)運用の基本にあるとおり、診療時間・休診情報・電話番号などの基本情報が正確で最新であることが、まず土台になります。

内科特有のチェックポイントとしては以下が挙げられます。

  1. 発熱外来・時間外対応の有無をGBP上に明記しているか
  2. 休診・臨時休診の情報が当日中に更新されているか
  3. 「内科」以外に対応可能な診療内容(生活習慣病管理、健診対応など)をサービス欄に登録しているか
  4. 混雑時間帯の情報(込み合う時間帯の傾向)が患者にわかるようになっているか

繁忙期に「電話が繋がらない」「行ったら長時間待たされた」という状態が続くと、口コミの評価に影響し、翌シーズン以降の新患獲得に響く可能性があります。繁忙期前にGBPの情報更新と院内オペレーションの見直しをセットで行うことをおすすめします。

診療科としての優先順位のつけ方

診療科別に見る集患施策の違いでも触れているように、内科は「即時性の高い単発受診」と「継続性の高いかかりつけ受診」が同居する珍しい診療科です。この特性を踏まえると、施策の優先順位は次のようになりやすいと考えられます。

  1. 院内体験の見直し(初診時の説明、会計時の次回案内)
  2. MEO・GBPの基本情報整備と口コミ運用
  3. リコール・再来喚起の仕組み構築(LINE・SMS等)
  4. 広告(繁忙期の即応性を高めたい場合、リスティング広告など)

広告は最後の選択肢として位置付けるのが基本です。院内体験と検索対策が整っていない状態で広告費を投じても、来院後の定着率が低ければ、新患獲得コストばかりが積み上がってしまいます。

よくある質問

Q. 内科の新患を増やすには広告とMEOどちらを優先すべきですか。 A. 一般的にはMEOを先に整えることをおすすめします。内科は「今すぐ近くの内科」という検索行動が多く、GBPの基本情報や口コミが来院経路に直結しやすいためです。広告は院内体験とMEOが整った後の追加施策として検討する位置づけが妥当と考えられます。

Q. 生活習慣病の患者を増やすにはどうすればよいですか。 A. 健診結果を持参した患者へのフォロー説明や、地域の健診機関・企業健診との連携が入口になりやすいとされています。あわせて、初診時に通院ペースを具体的に示すことで、継続受診につながりやすくなる傾向があります。

Q. 季節変動はどのくらいの期間で平せますか。 A. 施策の内容や院の状況によって差があり、一概には言えません。リコールの仕組みや生活習慣病患者の受け皿づくりは効果が出るまでに一定期間を要することが多いため、短期的な変化よりも半年〜1年単位での比率の変化を追うことをおすすめします。


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