採用

採用ターゲットの決め方|会社の未来から人物像を逆算する採用設計の手順

「求人を出しても応募が集まらない」「応募はあるのに、面接で『この人ではない』と感じることが続く」——こうした悩みの背景には、給与や媒体の問題ではなく、そもそも「誰を採りたいか」を言語化しないまま求人票を作っている、という原因が隠れていることが少なくありません。採用ターゲットは、会社の未来像から逆算して決めるものであり、勘や過去の応募者の印象だけで決めるものではありません。ターゲットが定まれば、媒体選定・求人票の訴求・面接での見極めまで一貫性を持たせやすくなります。

まず押さえるべき要点は3つです。

  1. 採用ターゲットは「現在の欠員補充」ではなく「3〜5年後の院の体制」から逆算して決める
  2. 年齢・性別ではなく、経験レベルと働き方の価値観で人物像を描く
  3. ターゲットは求人票だけでなく、媒体選定・面接基準・定着支援にも一貫して反映させる

採用ターゲットとは、どのような人物に来てほしいかを具体化した基準です

採用ターゲットとは、自院が採用したい人物像を、経験レベル・スキル・働き方の価値観などの軸で具体的に言語化したものです。「明るい人」「やる気のある人」といった抽象的な人物像ではなく、「調剤未経験だが対人対応を丁寧にできる人」「在宅対応まで担える経験3年以上の看護師」のように、面接で判断できる粒度まで落とし込む点が実務上のポイントです。ターゲットが曖昧なままだと、求人票の訴求もぼやけ、媒体選定も「とりあえず露出の多いところ」という判断に流れやすくなります。

なぜ「今の欠員」ではなく「会社の未来」から逆算するのか

欠員補充の発想だけで採用すると、辞めた人と似たタイプを無意識に探してしまい、院が抱える構造的な課題(特定業務への偏り、シフトの偏在、次の管理職候補の不在など)を再生産しがちです。判断基準としては、次の3つを自問することが有効です。

  • 3〜5年後、この職種に何人・どのレベルの人が必要か
  • 今のスタッフ構成で不足している経験・スキルは何か
  • 新しく採る人に、将来どの役割(教育担当・管理職候補など)を期待するか

この視点を持つと、「今すぐ動ける人」だけでなく「育成前提でポテンシャルを見る人」という選択肢も採用ターゲットに含められるようになります。人員体制そのものの考え方は医療機関の求人媒体運用でも触れていますが、媒体を選ぶ前段階としてこの逆算が欠かせません。

採用ターゲット設定の手順(4ステップ)

実務では、以下の順番で進めると迷いにくくなります。

  1. 未来像の確認: 3〜5年後にどの診療体制・業務範囲を目指すかを院長・事務長で言語化する
  2. 現状とのギャップ整理: 現スタッフの経験レベル・得意分野を棚卸しし、不足している部分を特定する
  3. 人物像の言語化: 経験レベル(未経験/実務3年未満/実務3年以上など)と働き方の価値観(安定重視/成長重視/専門性重視など)を掛け合わせて人物像シートを作る
  4. 判断基準への落とし込み: 求人票の訴求文・面接での質問項目・媒体選定の3つに、決めた人物像を反映させる

このステップを飛ばして求人票の文言だけを工夫しても、応募者の質は安定しにくいと考えられます。

ターゲット別に見る媒体・訴求の使い分けの目安

同じ職種でも、ターゲットの経験レベルによって相性の良い媒体や訴求ポイントは変わります。一般的な傾向として、以下のような整理が実務では使われています。

ターゲット像相性の良い媒体の傾向求人票で強調しやすい訴求
未経験・第二新卒層Indeed無料枠、ハローワーク教育体制、未経験可、丁寧な引き継ぎ
実務経験3年未満ジョブメドレー、コメディカルドットコム業務範囲、シフトの柔軟性、職場の雰囲気
実務経験豊富・即戦力層人材紹介、スカウト型媒体裁量の大きさ、キャリアパス、待遇の具体性
管理職候補人材紹介、リファラル将来の役割、意思決定への関与度

媒体ごとの費用対効果や使い分けの詳細な考え方は薬剤師求人媒体の比較でも整理していますので、ターゲットが決まった後の媒体選定の参考にしてください。

やりがちな失敗と回避策

採用ターゲットの設定でよく見られる失敗は、次のようなパターンです。

  • 失敗例1: ターゲットを「良い人」という抽象的な言葉のまま決めてしまい、面接官によって評価がぶれる → 回避策として、面接での質問項目まで人物像シートに含めておく
  • 失敗例2: 院長のイメージだけでターゲットを決め、実際に一緒に働くスタッフの意見が反映されない → 回避策として、現場スタッフに「一緒に働きたい人物像」をヒアリングしてから最終化する
  • 失敗例3: ターゲットを決めた後、求人票や媒体選定に反映せずに終わってしまう → 回避策として、決めた人物像を求人票のテンプレートや媒体選定チェックリストに明記し、次回以降も使い回せる形にしておく

採用コストの観点からも、ターゲットのミスマッチは再募集や早期離職につながりやすく、結果的にコストを押し上げる要因になり得ます。採用単価の内訳を見直したい場合は薬剤師の採用コストの計算方法もあわせて確認すると、どの工程にコストがかかっているかが把握しやすくなります。

よくある質問

Q. 採用ターゲットは職種ごとに毎回決め直す必要がありますか。 A. 職種が変わればターゲット像も変わるため、基本的には職種・雇用形態ごとに設定し直す方が実務に合いやすいと考えられます。ただし院の方針(3〜5年後の体制像)が土台にあれば、毎回ゼロから議論する必要はなく、共通の軸を使い回せる場合が多いです。

Q. ターゲットを絞りすぎると応募が減りませんか。 A. 絞り込みが強すぎると応募数が減る傾向はあると考えられます。年齢・性別など属性で絞るのではなく、働き方の価値観や経験レベルで人物像を描くと、応募のハードルを上げずにミスマッチを防ぎやすくなります。

Q. 小規模クリニックでもターゲット設定は必要ですか。 A. 採用人数が少ない院ほど、1人のミスマッチが与える影響は相対的に大きくなりやすいため、規模にかかわらず有効な工程だと考えられます。時間をかけすぎず、簡易的な人物像シートで十分対応できる場合もあります。


自院の採用ターゲットを整理する際は、まず現状の求人・面接の課題を棚卸しすることから始めると進めやすくなります。人物像シートのテンプレートや自院の採用状況を整理するチェックリストは資料ダウンロードからご利用いただけます。また、現在の求人票や媒体選定がターゲットとずれていないかを確認したい場合は、無料の採用診断で客観的な視点からの見直しも可能です。

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