「採用動画を作りたいが、業者に頼む予算はない」「スタッフに座談会をお願いしたが、台本を渡したらどこか他人行儀な受け答えになった」——こうした悩みを持つ院長・広報担当は少なくありません。結論から言うと、採用座談会の動画は自作で十分対応できます。台本を用意せず「サイコロトーク」形式で進行し、撮影者が途中で退室するだけで、応募者に届きやすい自然な会話が撮れる可能性が高まります。
まず押さえるべき要点は3つです。
- 台本ではなく質問カードを用意する:一問一答形式の台本は棒読みになりやすいため、その場で引く質問カードにして即興性を残す。
- 撮影者は本編中に部屋を出る:進行役や上司が同席したままだと発言が無難になりがちなため、撮影開始後は退室してスタッフだけで会話させる。
- 編集は「削る」作業に徹する:長回しした素材から良い反応の部分だけを切り出し、繋ぎ直しは最小限にとどめる。
採用動画に座談会形式が向く理由
求人票やHPの文章だけでは、職場の空気感や人間関係までは伝わりません。座談会形式の採用動画とは、実際に働くスタッフ複数人が雑談形式で仕事内容や職場の雰囲気を語る動画のことです。応募検討者は「この人たちと一緒に働けそうか」を無意識に判断材料にしていることが多く、話し方・表情・相槌といった非言語情報が、求人票の文章よりも印象に残りやすい傾向があります。
求人票の訴求文だけで応募が集まらない場合、求人票の書き方を見直すのと並行して、動画で職場の実態を補うのも有効な打ち手です(※候補外のためリンクは削除可)。
サイコロトークで撮る具体的な進め方
サイコロトークとは、あらかじめ用意した質問リストからその場でランダムに1つを選び、即興で答えていく進行形式のことです。台本を読み上げるのではなく「今引いた質問にその場で答える」ため、表情や言葉選びが自然になりやすいという利点があります。
進め方の手順は次のとおりです。
- 質問を10〜15個ほど紙またはアプリのカードにまとめる(例:「入職の決め手は」「休憩時間の過ごし方は」「この職場ならではの雰囲気は」)。
- 参加スタッフを2〜3人選び、当日は事前に質問内容を伝えない。
- 撮影開始後、参加者が順番にカードを引いて答える形式で進行する。
- 1問あたり1〜2分を目安に、無理に切り上げず自然な間も残す。
- 撮影時間は合計30〜40分ほど確保し、そこから使える部分を編集で選ぶ。
撮影者は退室する:なぜそれが正解なのか
撮影者やスタッフの上司がカメラの横に立ったままだと、参加者は無意識に「評価されている」感覚を持ちやすく、発言が無難な模範解答寄りになりやすいというのが実務上よく見られる傾向です。撮影者が退室し、カメラだけを回した状態にすると、参加者同士の会話に集中しやすくなります。
判断基準としては、以下のいずれかに該当する場合は退室を検討する価値があります。
- 参加者の中に上司・先輩・後輩の関係がある
- 過去に撮影した動画で発言がぎこちなかった経験がある
- 参加者から「見られていると話しにくい」という声が出たことがある
一方で、新人スタッフのみで進行に不安がある場合は、最初の1〜2問だけ撮影者が同席して進行の流れを示し、その後退室する折衷案も現実的です。
準備物と撮影の設定
自作でも最低限そろえておきたい機材と時間の目安は次のとおりです。
| 項目 | 内容の目安 |
|---|---|
| カメラ | スマートフォンでも可(横向き固定推奨) |
| 三脚 | 手ブレ防止のため必須に近い |
| マイク | 内蔵マイクでも可だが、ピンマイクがあると聞き取りやすい |
| 撮影場所 | 院内の落ち着いたスペース、背景に個人情報が映らない位置 |
| 撮影時間 | 30〜40分(編集で2〜4分に圧縮) |
| 参加人数 | 2〜3人(初対面同士は避ける) |
背景や会話の中で患者情報・カルテ・薬歴が映り込まないよう、撮影場所は事前に確認しておく必要があります。院内掲示や機器の型番など、意図せず映り込む情報にも注意が必要です。
編集・公開までの流れとやりがちな失敗
編集は「足す」のではなく「削る」作業だと捉えると進めやすくなります。長回しした素材から、笑いが起きた部分・具体的なエピソードが出た部分を中心に切り出し、繋ぎ目にはテロップや簡単なトランジションを入れる程度で十分です。
やりがちな失敗としては、次のようなものが挙げられます。
- 台本を完全に読ませてしまい、棒読みになる
- 撮影者が同席したまま進行し、発言が模範解答寄りになる
- 編集で切りすぎて会話の文脈が分からなくなる
- 完成後にスタッフ本人へ公開前の最終確認を取らずに公開してしまう
完成した動画は求人ページや採用LPへの掲載に加えて、Indeedの企業ページやSNSでも活用できます。動画だけでなく媒体選定全体を見直したい場合は、医療機関の求人媒体運用の考え方も参考になります。また、動画制作にかかる時間や人件費も採用コストの一部として捉えておくと、採用コストの計算方法と合わせて費用対効果を判断しやすくなります。
よくある質問
Q. 採用動画の座談会はスマホだけで撮影できますか。 A. 三脚とピンマイク(またはワイヤレスマイク)があれば、スマホ撮影でも実用的な仕上がりになりやすいです。画質より会話の自然さが応募判断に影響しやすいため、機材投資は最小限で始めても問題ないとされています。
Q. 撮影者が退室すると、進行が止まってしまいませんか。 A. 質問カードを箱に入れておき、参加者が交代で引いて進める形式にすれば、進行役がいなくても場が回りやすくなります。事前に質問数と目安時間だけ共有しておくと安心です。
Q. 座談会動画はどのくらいの長さにまとめればいいですか。 A. 求人ページ掲載用は1本2〜4分程度、SNS用は30秒〜1分程度に切り出すケースが一般的です。長尺の素材から複数本を編集して使い分けると、媒体ごとの視聴傾向に合わせやすくなります。
採用動画の企画から求人票・媒体選定まで自院だけで見直すのが難しい場合は、採用改善に使える資料をダウンロードして進め方の全体像を確認するか、無料診断で自院の採用課題を整理してみることをおすすめします。