広告運用

はじめてのクリニックのリスティング広告|予算設定・キーワード選定・出稿の手順

「そろそろ広告を始めたいが、予算をいくらにすればいいのか、何のキーワードに出せばいいのか分からない」という院長・広報担当は少なくありません。結論から言えば、リスティング広告は予算・キーワード・計測の3点を出稿前に決めておくことで、成果の良し悪しを判断できる状態を作れます。この記事では、初めてリスティング広告を始める際の予算設定からキーワード選定、出稿後の検証までの手順を実務目線で整理します。

まず押さえるべき要点は3つです。

  1. 予算は「最低出稿額」ではなく「判断できる金額」から決める — 少なすぎるとCVの傾向すらつかめない
  2. キーワードは絞り込みから始める — 症状名・診療科名・地名の組み合わせを軸に、広げすぎない
  3. CVの定義を出稿前に決める — 何を成果とするかが曖昧なまま始めると、やめ時の判断ができなくなる

リスティング広告とは

リスティング広告とは、Google検索やYahoo!検索の検索結果画面に、ユーザーが入力した検索語(キーワード)に連動して表示されるテキスト広告です。「地名+診療科名」「症状名+クリニック」といった、来院意思の強い検索語に対して表示できる点が特徴で、MEO(地図検索対策)やSNS広告と比べて、すでに受診を検討している層に届きやすい媒体だといわれます。一方でクリック課金制のため、キーワード選定と予算配分の精度が費用対効果を大きく左右します。

ステップ1:予算をいくらから始めるか(判断基準)

予算設定でまず確認すべきは、「最低出稿額」ではなく「CVの傾向を判断できる金額」かどうかです。クリック単価が数百円のキーワードであっても、月数千円の予算では十分なクリック数が集まらず、成果が良いのか悪いのか判断できないまま終わってしまうことがあります。

一般的な目安のレンジとして語られることが多いのは、次のような考え方です。

  • 保険診療中心(内科・小児科など):月5〜15万円程度から様子を見る運用が多い
  • 自由診療の比率がある診療科(皮膚科・歯科の自費メニューなど):月10〜30万円程度で検証するケースがある
  • 自由診療中心(美容医療など):競合の入札単価が高くなりやすく、月30万円以上を想定するケースもある

これらはあくまで実務上よく参照される目安であり、地域の競合状況やクリック単価によって必要額は変動します。予算は一度決めたら固定するのではなく、1〜2か月ごとに実績を見ながら調整する前提で組むことをおすすめします。

ステップ2:キーワード選定の手順

キーワード選定は、次の手順で進めると絞り込みやすくなります。

  1. 診療科名・症状名を洗い出す — 「内科」だけでなく「発熱外来」「胃カメラ」など具体的な受診理由も含める
  2. 地名を掛け合わせる — 「地名+診療科名」「駅名+症状名」など、来院圏内の検索語に絞る
  3. 除外キーワードを設定する「求人」「口コミ」「アルバイト」など、来院につながらない検索語をあらかじめ除外する
  4. 語数を絞って開始する — 立ち上げ時は10〜20語程度に絞り、反応を見ながら追加する

やりがちな失敗は、「思いつく限りのキーワードを全部登録する」ことです。語数を増やしすぎると1語あたりのクリック・CVデータが分散し、どのキーワードが成果に寄与しているか判断しにくくなります。回避策として、まず絞り込んだ語で1〜2か月運用し、データが集まってから拡張する進め方が安全です。

ステップ3:CVの定義と計測設定

出稿前に必ず決めておくべきなのが、CV(コンバージョン)の定義です。「Web予約完了」「電話問い合わせ」「LINE友だち追加」など、何を成果とするかを1つ以上決め、計測タグを設置した状態で出稿を開始します。CVの定義が曖昧なまま出稿すると、クリック数や表示回数だけを見て一喜一憂することになり、費用対効果の判断ができなくなるおそれがあります。

手順内容目安タイミング
1. CV定義の決定予約・電話・LINE等、何を成果とするか決める出稿前
2. 計測タグの設置コンバージョンタグ・電話計測番号の設定出稿前
3. キーワード・予算の設定絞り込んだキーワードと初期予算で出稿開始出稿開始日
4. 初期学習期間の確認クリック単価・表示回数の推移を確認する出稿後1〜2週間
5. CV実績の検証CV数・獲得単価を確認し、キーワードごとに評価する出稿後1か月〜

出稿後の検証サイクルとやめ時

出稿を開始したら終わりではなく、一定期間ごとに検証するサイクルを組み込みます。目安として、開始1〜2週間は媒体側の学習期間と捉え、大きな判断は避けるほうが安全です。1か月経過した時点でキーワードごとのCV数・獲得単価を確認し、成果が出ていないキーワードは停止、成果が出ているキーワードは予算を増やすといった調整を行います。

  • やりがちな失敗:開始数日で「反応が悪い」と判断してしまう → 回避策として、最低でも2週間はキーワードや入札を大きく変えずに様子を見る
  • やりがちな失敗:獲得単価だけを見て評価してしまう → 回避策として、獲得単価に加えて予約後のキャンセル率・実来院率も合わせて確認する
  • やりがちな失敗:効果の出ない広告を「様子見」で漫然と続けてしまう → 回避策として、出稿前に「◯か月・◯件のCVがなければ停止」という撤退基準を決めておく

媒体特性の違いにも触れておくと、リスティング広告は「すでに検討している人」に届く一方、Meta広告(Facebook・Instagram)は潜在層への認知形成、LINE広告は既存の友だち・地域住民への再訴求に向いているといわれます。リスティング広告単体で判断が難しい場合は、他媒体との役割分担も含めて検討するとよいと考えられます。

よくある質問

Q. リスティング広告はいくらから始められますか? A. 媒体側の最低出稿額は数千円程度からですが、CV(予約・問い合わせ)の傾向をつかむには月10万円前後からのほうが判断しやすいといわれます。診療科や地域の競合状況によって必要額は変わるため、まず小さく始めて反応を見ながら調整する進め方が現実的です。

Q. キーワードは何個くらい設定すればよいですか? A. 立ち上げ時は10〜20語程度に絞り、症状名・診療科名・地名の組み合わせを中心に設定するとよいと考えられます。語数を増やしすぎると1語あたりの学習データが分散し、成果の良し悪しを判断しにくくなるおそれがあります。

Q. 広告の効果が出ているかはいつ頃わかりますか? A. 媒体のアルゴリズムが安定するまでに1〜2週間、CVの傾向がある程度見えるまでに1か月程度かかることが一般的です。開始直後の数日だけで判断すると、正常な変動をやめ時と誤認するおそれがあるため注意が必要です。


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