経営

クリニックのマーケティング担当者が不在でも回る院内体制のつくり方

「マーケティング担当者を採用したいが、専任を置く余裕はない」——多くのクリニックが直面する悩みです。結論から言えば、専任者がいなくても、院長・事務長・受付が役割を分担し、週次30分程度の会議で進捗を確認する仕組みを作れば運用は回ります。重要なのは「誰か1人に丸投げする」のではなく、「体制」として設計することです。

まず押さえるべき要点は3つです。

  1. 専任者不在の前提で役割を分ける:マーケティング業務を「情報収集」「実行」「意思決定」の3つに分解し、院内の複数人に配分します。
  2. 会議は週次30分・議題を固定する:長時間の会議は形骸化しやすく、短時間でも定期開催のほうが継続しやすい傾向があります。
  3. 外部委託との境界線を先に決める:広告運用や専門分析は外部、院内でしか拾えない情報収集は院内、と役割を切り分けます。

なぜクリニックにマーケティング担当者が定着しにくいのか

クリニックでマーケティング担当者が定着しにくい主な理由は、業務範囲が曖昧なまま「集患も広報もSNSも全部お願い」という形で任されがちな点にあります。受付業務や診療補助と兼務になるケースが多く、優先順位が下がって放置されやすい構造です。

また、院長自身が最終判断者であることが多い医療機関では、担当者に決裁権がないまま「提案はするが決められない」状態が続き、モチベーションが下がって離職につながるケースも見られます。担当者個人の能力の問題というより、体制設計の問題であることが少なくありません。

「担当者」ではなく「体制」で考える:役割分担の3つの軸

マーケティング体制とは、特定の1人に業務を集中させるのではなく、情報収集・実行・意思決定という3つの役割を複数人で分担し、定期的に情報を持ち寄る仕組みのことです。

具体的には次のように分けると機能しやすくなります。

役割主な担当候補業務内容の例
情報収集受付・看護師来院経路のヒアリング、口コミへの気づき、患者からの問い合わせ内容の記録
実行事務長・広報担当(兼務可)GBP投稿の更新、口コミ返信、院内掲示物の作成
意思決定院長予算配分の承認、広告出稿・停止の判断、優先施策の決定

情報収集を受付に任せるのは、来院経路や患者の生の声が最も集まりやすい接点だからです。来院経路分析のはじめ方にあるように、受付ヒアリングだけでは全体像が見えにくい部分もありますが、日々の気づきを記録する習慣自体が体制の土台になります。

週次30分ミーティングの設計:アジェンダとKPI

会議を継続させる最大のコツは、議題をあらかじめ固定し、時間を厳守することです。おすすめのアジェンダは次の3ステップです。

  1. 実績共有(10分):前週の新患数、口コミ件数、広告の数値(クリック数・予約数など)を担当者が読み上げる形で共有します。
  2. 今週のタスク確認(10分):GBP投稿の更新担当、口コミ返信の担当など、今週中にやることを名前と期限で確定します。
  3. 意思決定事項(10分):予算追加や広告停止など、院長の判断が必要な事項をこの場で決めます。改善案の深掘りは別の場に回します。

やりがちな失敗は、会議が「反省会」や「アイデア出し」に脱線し、30分では終わらなくなることです。回避策として、深掘りが必要なテーマは「持ち帰り検討」としていったん区切り、次回までに担当者が調べて報告する形にすると時間を守りやすくなります。

診療科・規模別の体制パターン

クリニックの規模や診療科によって、無理なく回せる体制の形は変わってきます。

クリニックの規模体制の目安
院長1人+スタッフ数名院長が意思決定、受付が情報収集を兼務。実行は月1回まとめて院長か外部委託
複数医師+事務長在籍事務長が実行の中心、院長は意思決定に集中、受付・看護師が情報収集
分院展開・法人化広報専任またはマーケ担当を1名採用し、各院の情報収集役と連携する形

規模が大きくなるほど専任者を置く選択肢が現実的になりますが、その場合も「担当者が1人で全部背負う」設計は避け、情報収集の役割は各院のスタッフに残しておくと属人化しにくくなります。院内体制を整える前段として、クリニックのマーケティング戦略とはで示した「誰に・何を・どの順で」という優先順位づけを済ませておくと、会議での意思決定がスムーズになります。

やりがちな失敗と外部パートナーとの分業ライン

院内体制でよくある失敗は、施策の効果測定をしないまま「なんとなく続けている」状態に陥ることです。会議で数値を共有する習慣があれば、効果の乏しい施策に気づきやすくなります。費用対効果の考え方はマーケティングの費用対効果を計算するで解説した新患獲得単価の考え方が参考になります。

もう一つの失敗は、外部の代理店やコンサルに「丸投げ」してしまい、院内の情報が伝わらないまま施策だけが回るケースです。広告運用やデータ分析のような専門性が求められる業務は外部委託が向いていますが、来院経路や口コミの内容といった院内でしか拾えない情報は、週次会議を通じて院内から外部へ渡す仕組みを作っておくことが望ましいと考えられます。競合の状況を把握したいときはクリニックの競合調査の進め方のような院内で完結できる手順から始めるのも一つの方法です。

よくある質問

Q. 専任担当者がいなくてもマーケティングは本当に回りますか? A. 専任者がいなくても、院長・事務長・受付が役割を分担し、週次30分程度の短い会議で進捗を確認する仕組みがあれば運用は継続しやすくなります。ただし誰か1人が「気が向いたときにやる」体制では停滞しやすく、役割と時間を明示的に決めておくことが前提になります。

Q. 週次30分のミーティングでは何を話し合えばよいですか? A. 前週の実績(予約数・口コミ件数・広告数値など)の共有、今週着手するタスクの確認、判断が必要な事項の意思決定の3点に絞ると30分に収まりやすくなります。議論が広がりやすい改善案の検討は別枠にすると時間内に収まりやすい傾向があります。

Q. 外部の代理店やコンサルに任せた方が早いのではないですか? A. 広告運用や専門的な分析は外部委託が向く一方、院内の情報(来院経路・口コミ返信・受付での声かけなど)は院内でしか拾えません。外部と院内の役割を切り分けたうえで併用する形が現実的な選択肢になりやすいと考えられます。


自院に合った役割分担や会議の進め方を具体的に検討したい場合は、体制設計のチェックリストを無料でダウンロードできる資料ダウンロードをご活用ください。また、現状の集患・広報体制に課題がないか客観的に確認したい方は、無料診断から現状の棚卸しを行うことも可能です。

集患・採用のお悩み、まずは30分の無料相談から 1分で無料マーケ体制診断 お問い合わせ