薬機法

医療広告が通報されたら|ネットパトロールから行政指導までの流れと対処

「自院のサイトやSNSが誰かに通報されるかもしれない」——そんな不安を抱えながら、広告表現のチェックを後回しにしていないでしょうか。医療広告ガイドラインへの違反は、ネットパトロール事業による巡回や、患者・競合クリニックからの通報をきっかけに発覚することが少なくありません。本稿では、通報を受けてから行政指導に至るまでの一般的な流れと、通報される前に自院で行っておきたい自主点検の手順を整理します。

まず押さえるべき要点は3つです。

  1. 通報の入口は複数ある:ネットパトロール事業による定期巡回のほか、患者・競合クリニック・第三者からの通報窓口経由でも発覚します。
  2. 通報後すぐに罰則が科されるわけではない:多くの場合はまず改善通知や助言という形で連絡が入り、対応状況次第で段階が進みます。
  3. 自主点検の有無が対応スピードを左右する:チェック体制が整っていれば、指摘を受けた際も該当箇所を即座に特定し修正できます。

医療広告の「通報」とは何か

医療広告における通報とは、医療機関のウェブサイトやSNS、広告物が広告可能事項の範囲を超えていたり、誇大・体験談的な表現を含んでいたりする疑いがある場合に、第三者が保健所・自治体・ネットパトロール事業の窓口へ情報提供することです。通報者は患者本人とは限らず、近隣の同業クリニックや広告表現に詳しい第三者が指摘するケースもあります。厚生労働省の指針に基づき都道府県等が広告監視・指導を行う体制が整えられており、通報はその監視活動の入り口の一つに位置づけられます。

ネットパトロール事業とは

ネットパトロール事業とは、厚生労働省の委託を受けた民間事業者が医療機関のウェブサイト等を巡回・監視し、ガイドライン違反の疑いがある表現を発見した場合に医療機関へ通知したり、都道府県へ情報提供したりする仕組みです。患者や第三者からの個別通報とは別に、機械的・定期的な巡回によって発見される点が特徴です。よくある指摘パターンは医療広告ガイドライン違反事例に学ぶ|行政指導までの流れとよくある指摘パターンでも整理していますので、あわせて確認しておくと自院点検の精度が上がります。

通報から行政指導までの一般的な流れ

通報を受けてから行政処分に至るまでは、いきなり最終段階に進むわけではなく、段階を踏んで対応が進むのが一般的です。

段階内容医療機関側の対応目安
1. 発見・通報ネットパトロール事業の巡回、または患者・第三者からの通報で疑義箇所が把握される事実確認・該当箇所の特定
2. 通知・注意喚起事業者や自治体から医療機関へメールや書面で改善依頼が届く期限内の自主修正
3. 報告徴収・指導自主修正が確認できない場合、都道府県から報告徴収や口頭指導が行われる改善計画の提出
4. 中止命令・是正命令改善が見られない場合に発出される行政処分命令内容の履行
5. 罰則命令に従わない場合、刑事罰の対象となり得る弁護士等への相談

罰則の要件や適用の考え方は医療広告ガイドライン違反の罰則|中止命令から刑事罰までの流れと基準で解説していますが、実務上は多くのケースが1〜3の段階で是正され、4以降に至る前に解決することが一般的です。とはいえ、対応を放置すれば段階が進む前提であることは変わりません。

通報されやすい表現・箇所のチェックリスト

自院サイトやSNSを見直す際は、以下の箇所から優先的に確認すると効率的です。

  • 「絶対」「必ず」「日本一」など最上級・断定表現
  • 治療のビフォーアフター写真や、患者の体験談的な記述
  • 「痛くない」「完治」など効果を保証するような表現
  • 限定解除の要件を満たさないまま自由診療の費用や術式を詳細に記載しているページ
  • 医師個人のSNSアカウントでの症例紹介(広告に該当するかどうかの判断が必要な領域)

限定解除の考え方は医療広告ガイドラインの限定解除とは|4要件と自院サイトのチェック手順で詳しく扱っています。自費診療メニューのページを公開している院ほど、この要件の確認漏れが通報の起点になりやすい傾向があります。

通報される前にできる自主点検の手順

通報を受けてから慌てて修正するのではなく、あらかじめ以下の手順で点検体制を組んでおくと、指摘を受けた際の対応が格段に早くなります。

  1. 自院サイト・SNS・LP・GBP投稿を含む全媒体の表現を棚卸しする
  2. 上記チェックリストに該当する箇所を洗い出す
  3. 修正の優先順位を「発生確率×影響度」で決める(自由診療LP・体験談・最上級表現から着手)
  4. 出稿前チェックの担当者と承認フローを決める
  5. 半年に1回など、定期的な再点検の頻度を院内ルールとして固定する

出稿前のチェック体制の作り方は医療広告チェック体制のつくり方|出稿前フローと確認担当者の決め方で手順化しています。担当者を決めずに「気づいた人が直す」運用のままだと修正が後回しになりやすく、ネットパトロール事業の巡回タイミングと重なって発覚するリスクが高まります。

よくある質問

Q. 医療広告ガイドライン違反はどのように発覚することが多いですか? A. ネットパトロール事業による巡回のほか、患者や近隣の医療機関などの第三者からの通報で発覚するケースがあります。自由診療のLPやSNS投稿など、表現が具体的になりやすいページほど対象になりやすい傾向があります。日頃からの自主点検が、発覚後の対応をスムーズにする備えになります。

Q. 通報を受けたら、すぐに罰則が科されるのでしょうか? A. 多くの場合、通報後すぐに罰則が科されるわけではなく、まず自治体等からの改善通知や指導という形で連絡が入ります。命令に従わず改善が見られない場合に中止命令等の行政処分、さらに悪質な場合に刑事罰の対象となる可能性があるという段階的な流れが一般的です。

Q. 自主点検はどのくらいの頻度で行うべきですか? A. 明確な基準は定められていませんが、自由診療メニューの追加やLP更新のタイミング、また半年に1回程度の定期点検を組み合わせる院が多いようです。担当者と承認フローをあらかじめ決めておくと、点検が形骸化しにくくなります。


自院のサイトやSNSがガイドラインに沿っているか不安な場合は、まず医療広告ガイドラインのチェックポイントをまとめた資料で全体像を把握し、次に無料の自院診断で該当しそうな箇所を具体的に洗い出すことをおすすめします。通報を受けてから対応するのではなく、自主点検を先に済ませておくことが、行政指導のリスクを下げる現実的な方法です。

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